イユキアへ短剣をつきつけたロゼナギースを見つめ、レイヴァートが静かにたずねた。
「ローゼ殿?」
「すまねぇが、下がってくれないか。二人とも、二階へのぼってくれ。悪いな。剣を持った手を動かすなよ」
「あなたは──!」
憤然と出かかったヒルザスの腕をレイヴァートがつかんだ。口調を変えず、ロゼナギースへ問いかける。
「マキアを襲ったのは誰です?」
「‥‥二階へ行きな」
あごをしゃくって、ロゼナギースはイユキアの喉へ刃をかたむけた。白い刃がギラリと光る。レイヴァートはイユキアを見つめた。イユキアは怯えた様子も驚いた様子もなく、少しぼんやりとしたような顔で黒い影の消えた扉の方を眺めていたが、口元にはかすかに微笑のようなものがあった。
レイヴァートの視線に気がついたのか、ふっと目を動かして、まばたきする。視線は微妙に合わなかった。
ロゼナギースが無言で階段へ目をやる。レイヴァートはうなずいて、ヒルザスとともに二階への狭い階段をのぼった。ロゼナギースはイユキアをつれたまま、用心深く剣の間合いをはずしてつづいた。
二人は、二階にある狭い客室へ押しこめられる。廊下にころがっていた木箱を扉の前へ引きずってくると、ロゼナギースはそれで扉をふさいだ。イユキアの腕をつかんで一階へ降りる。
「すまねぇが、少しいっしょに来てくれないか。あいつらを出されても困るんでな」
「私はかまいませんが」
店の表へ出る前にイユキアは灰色のフードを頭に引き上げ、顔をかくした。銀色の髪はひどく目立つ。
「さっきの犬は、私を狙ってきたものですよ。いっしょにいると、あなたを巻きこんでしまうかもしれません」
「あれを追い払ったのは俺だぜ」
大股で路地を抜けながら、ロゼナギースは笑みをうかべてみせた。
事実、犬がイユキアへ襲いかかった瞬間、鳴り響いたのはロゼナギースの指笛だ。甲高く鳴らした「音」にひそむ力があの奇怪な影を払いとばしたのを、無論イユキアも気付いていたが、フードの中から返された言葉は素気なかった。
「驚いただけです。二度目は、通じませんよ」
「そんなもんかね。──あれ、何だ?」
「使い魔でしょう」
「誰かに狙われる覚えがあるのか、イユキア?」
一瞬、イユキアの足がとまりかかった。ロゼナギースがけげんそうに、
「どうした? レイヴァートがそう呼んでたろ。‥‥お前の名前だろ?」
「ええ‥‥」
イユキアは小さくうなずいた。イユキアの名を呼ぶものは少ない。ほとんどの人間が「黒館の主」や「黒の施癒師」などと呼ぶ中で、イユキアの名を正面きって呼ぶのはレイヴァートと森の民のセグリタくらいのものだ。
「誰に狙われてるんだ?」
「さあ。黒館に含むもののある者でしょう。──あなたも」
「俺?」
「黒館の主を、憎んでいる」
夕暮れがかすかに漂い出す道は、仕事を片づけた人夫や今夜の宿を探す水夫でにぎわっている。人をよけて側溝ぞいを歩きながら、ロゼナギースが横目でイユキアを見て、ニッと口元で笑った。
「まァな。会ったら殺してやろうと、ずっと思っていた。‥‥わかってるなら、どうしてついてきた、イユキア」
「殺しますか」
興味もなさそうに、イユキアはつぶやいた。ロゼナギースは答えない。少しの間、二人はだまって歩いていたが、イユキアがぽつりと言った。
「追われていますよ」
「俺が? お前が?」
「あなたでしょう。人間だから。酒場からついてきているようです」
「へェ‥‥」
ロゼナギースの声はのんびりしたものだったが、声の裏に揺れる怒りと苦痛を、イユキアは聞き取った。静かにたずねる。
「待ち人ではないんですか?」
「多分、そうだ。俺を殺そうとしてるのさ。なあ、大橋は見張りに押さえられてて渡れねえんだ。近くに人が来ないとこ、ないか? 海も見えるといいんだがな」
イユキアは無言のままうなずいて、右手をフードの中へ入れ、額におちる銀髪をかきあげた。細い一本を指先へからめて引き抜く。それを口元に寄せてふっと息を吹きかけ、宙へとばした。
銀のすじを風が巻き上げてゆく。
もはやそれには見向きもせず、足取りを早めたイユキアは、ロゼナギースの先に立って歩き出した。
扉を押しあけようとヒルザスが苦戦している。だが、扉はガタガタと鳴るだけでわずかしか開かない。ロゼナギースが廊下に置いた木箱でしっかりとふさがれている。
ヒルザスが背後へどなった。
「お前も手伝え、レイ──」
「ヒルザス」
レイヴァートは窓際に寄って、壁にうがたれた細い窓から道を見下ろしている。レイヴァートの目の高さほどにある縦長の窓は、逃げ出すどころか手を出すのにも不自由な小ささだ。
そんなところでレイヴァートは一体何をしているのかと、ヒルザスはうんざりした顔を向けたが、レイヴァートが手招きすると渋々歩みよった。
「何だ。助けでも呼ぶか、たすけてぇとか言って。いい笑いもんだぞ」
「見ろ」
言われて、狭い切れ目から下の道を見おろす。一階のひさしの上へのりだすように二階部分が張りだしているので、目の下はすぐ街路だ。細い道を遠ざかるイユキアとロゼナギースを見送って、ヒルザスは舌打ちした。
「なあ、アレ、黒館の主じゃねえのか? お前、妹の病を診てもらってるだろ」
「ああ」
レイヴァートとイユキアの関りはそれだけではないが、ヒルザスに知らせてやるたぐいのことでもない。
「なんで黒館のお人がこんなとこにいたんだ? ローゼ殿の知り合いか?」
「こっちを見ろ」
一言で問いをまとめて切り捨て、レイヴァートは路地をさした。イユキアとロゼナギースの姿はもうないが、それを追うように、店の影から姿をあらわした男がいた。
大柄な体に茶色いフードをまとっているが、歩くたびその下から青いマントがのぞく。腰の後ろに長剣を吊っているのがその上からもわかった。二人が歩き去った方角を見据え、大股に歩いて行く。その姿には確固とした目的がそなわって、人を近づけがたい雰囲気を全身から放っていた。
ヒルザスは男が視界から消えるまで窓に顔をつけて見やっていたが、「ふん」と唇をあげた。
「あいつだ。マキアを襲ったヤツ。俺、尾けられたかな‥‥?」
「ローゼ殿は待ち人をしていると言っていた。あれが相手なら、自分で居場所を知らせたのだろう」
「ああ、会う前にマキア相手に一仕事しようとしたのか。マメな男だな。なあレイ、あいつ相当腕が立つぜ」
「わかっている」
ヒルザスの語尾を切るように、強い口調でレイヴァートは言った。ヒルザスが笑みをうかべたまま、友人の顔を眺める。
「お前、さっきから何苛々してんだ?」
「別に‥‥」
レイヴァートは室内を見回した。木の台に藁と敷布をかけただけの粗末な寝台、油の減った油皿、テーブルがわりの空き樽におかれた火口箱、水が入った水盤。部屋のすみにボロきれがころがっていた。めぼしいものは何もない。たいていは娼婦をつれこんだり、水夫が一晩の宿としてころがりこんだりするための部屋だ。かびくさく、かすかに生ぐさい臭いが漂っている。
ヒルザスが火口箱を取り上げながら、
「さっき。ローゼ殿が黒館の主を人質に取った時。間合いをつめて、死なない程度に斬っちまえばよかったんだ。場合によっちゃ二人まとめてな。お前ならできるだろ。黒館の主は人じゃねェって噂だし、ローゼ殿だって無関係の人間の喉を切るほど無茶苦茶なお人じゃあるまいよ」
「‥‥‥」
扉を開けると、わずかに指が出る程度でガツンと固いものにいきあたった。ロゼナギースはじつに上手に木箱を置いていったらしい。レイヴァートは低い声で背後の友へ返す。
「ローゼ殿は、黒館の主に、うらみがある」
「うらみ?」
「22年前の一件の時のことだ。ローゼ殿の母上が前王へ毒を盛ろうとなさったが、その毒をつくったのは黒館の主だった。噂によれば、王へ毒の企みを知らせたのも、同じ黒館の主だったと云う。勿論、今の主と人はちがうが」
「成程。喉を切るかもな、それじゃ」
不吉なことをおもしろがるように言ったヒルザスを思わずにらみつけかけ──レイヴァートは自制した。イユキアは、自分の身くらい自分で守れるだろう。剣の腕が立つわけではないが、刃だけが人の武器ではない。黒館の主を、そういう意味ではレイヴァートは信頼していたが、イユキアが何故ロゼナギースへあっさりついていったのかが、よくわからなかった。考えがあってのことなのかどうか。ほとんど会話らしい会話もなかったが、今日のイユキアは、少し様子がおかしかった。
ふっ、と鋭い息を吐き出し、レイヴァートが向き直ると、ヒルザスは拾ったボロきれに火をつけようとしているところだった。
「‥‥何してる?」
「火をつけてるんだ」
「それはわかる」
「だな」
うなずいて、燃え出したボロきれのはじをつかんだ。それを扉の蝶番の上に器用に押しこむと、燃えている布へ油皿の油をかけた。炎がいきおいを増して、扉を焦がしだす。
「おい」
「火つけは晒し台行きだぞ、か?」
笑って、ヒルザスはレイヴァートの言葉を先取りした。炎はその間も、蝶番と扉の間で燃えさかり、焦げ臭いにおいとつんと喉を刺す煙が部屋に漂いだしていた。
レイヴァートはマントのはじで口を覆う。ヒルザスは無茶なところのある男だが、馬鹿ではない。しかし喉をいぶすような煙がたちこめてきて、さすがにこれはと思いかかった時、ヒルザスが寝台の下からひっぱりだした藁をまとめて持ち、ほとんど燃え尽きたボロ布を扉からはたき落とした。水盤を手に取り、中の水をくすぶる扉へ叩きつける。
ジュッと白煙があがって、部屋はもうもうとした煙につつまれた。二人はしばらくマントに顔をうずめて咳こむ。やがて、まだ漂う煙を払いながら、ヒルザスが立ち上がった。床のボロ布を足で踏みつぶして残った火を消すと、短剣を抜き、刃で蝶番を軽く叩く。
蝶番の周囲の木は黒く焼けていた。焦げた木を刃の先端でかきだしながら、扉と蝶番の間へ短剣をさしこむと、ヒルザスは梃子の要領で短剣をねじった。うまくいかない。背後へ手をのばした。
「油よこせ」
レイヴァートはヒルザスが使い切った油皿を手にして歩み寄り、わずかに底に残っていた油を蝶番へ垂らした。ヒルザスが短剣を前後左右へこじる。苦戦していたが、やがてギギッときしむ音がして、蝶番を柱へ打ちこむ釘が抜けてきた。
「‥‥ふう」
上の蝶番を外し、ヒルザスはマントの裏で汚れた短剣を拭いながら下がる。
レイヴァートを見た。
「何してる。腕力の出番だぞ」
吐息をついて、レイヴァートは扉の前へ歩み寄った。上の蝶番は外れたが、下の蝶番はしっかり柱と扉を留めている。扉を押すと、上が外れている分、斜めにかしいで大きく開いた。そこから出るにはまだまだ足りないが。
少し考えてから、レイヴァートは数歩下がる。ふっと息を吸い、体に力を溜めると、一気に距離をつめて扉の上部へ蹴りを叩き込んだ。扉が大きく斜めに傾き、下の蝶番がミシミシと音をたてる。数回、それを繰り返してから、蝶番に近い部分を蹴ると釘が一本外れた。
後は、外に置かれた木箱に苦労しながら扉を蝶番から外すだけだった。それが済むと扉を横に倒す。部屋の下側をふさぐように扉を廊下へたてかけ、レイヴァートはまだ少し咳こみながらそれを乗り越えた。
ヒルザスも後に続き、二人は階下へ早足で降りる。後ろで「刃こぼれが」とぼやく声が聞こえたが、それを無視し、レイヴァートは最後の数段をとばして階段を飛び降りた。
店内に男が立っているのに気付いたのは、最後の瞬間だった。店主かと思ったが、まるで体つきが違う。反射的に剣に手がかかったが、それを抑えてレイヴァートは立ちどまった。
人足のように日に灼けた肌をもつ男が、驚いたように彼を見上げている。実際、驚いたのだろう、レイヴァートの勢いに。看板は店主におろさせた筈だが、勘違いして入ってきた客なのか。あやまろうかと思った時、レイヴァートは男の両手首から腕にかけて真新しい布が巻かれているのに気付いた。包帯だ。丁寧に、その下にある傷を覆っている。人足が己の傷を覆う時に、こんな几帳面なやり方はしない。もっと慣れた手による手当だ。
「‥‥‥」
レイヴァートは鋭い目で、男の全身を上から下まで見た。そう見ると、服と体つきに覚えがあった。仕立屋の二階からイユキアを見かけた時、イユキアのそばにいた男だ。
その男が、怯えたような目をレイヴァートと階段に立つヒルザスへ向けた。早口に言う。
「黒館の主がいなかったか?」
「今はいない。どうした? 用か?」
「いや‥‥」
ためらい、うろたえて一歩下がった男との距離をすばやくつめ、レイヴァートは相手の右肩をつかんだ。強い眸でのぞきこむ。
「何があった?」
「‥‥さっき、ここでゴタゴタがおこってさ‥‥」
肩へ置かれたレイヴァートの手の力にか、まなざしの強さにか、男は逆らう気を失ったようで、問われるままに先刻ここであった揉め事を説明した。六人組にからまれたイユキアをロゼナギースが助けたいきさつを一通り聞き出し、レイヴァートはなおも男を見据えたまま、たずねる。
「何故、戻ってきた?」
「‥‥奴らが──あの後、コウモリの通りへ入るのを見たんだ。“黒館の主の首なら、コウモリが欲しがるさ”って、そう話してて‥‥」
レイヴァートは眉をしかめた。コウモリの名を聞いて、すとんと腑に落ちるものがあった。
コウモリの通りは、魔呪を扱ったり商ったりする者たちのつどう小路だ。その手の店には扉の上にコウモリの焼き印が捺されているので、そう呼ばれている。「コウモリ」とは、彼らのたぐいの通称でもあった。
「成程」
口の中で、レイヴァートはつぶやく。あの黒い犬は、コウモリの一人が放った使い魔だったのだろう。ここに黒館の主がいると、その男たちから情報を買って。
黒館は古い魔呪の焦点として王城の西の丘に建ち、黒館の主はその魔呪の契約者として在る。少なくとも、真実はどうあれ、そう語られている。同時に、「黒館の主を殺した者が次の主となる」との噂が、魔呪師の間に流れてもいた。すなわち、イユキアを殺せば、黒館に100年以上に渡って継がれてきた力を手に入れられると。
その話が真なのかどうか、レイヴァートは知らない。だが、イユキアを焦点として結ばれた黒館の「力」を欲するやからがいることは、容易に想像がつく。黒館には結界があるので、館にいるイユキアに害を為すには相当の力が必要だろうが、こうして街にいるイユキアを襲うことは、彼らにとってたやすかろう。
‥‥コウモリに、嗅ぎつけられたか。
レイヴァートの胸の奥に不安の影がうごく。イユキアが何を考えているか、レイヴァートにはよくわからない。イユキアは黒館の主ではあったが、この国の生まれでもなく、黒館にも黒館の持つ力にも執着を見せたことはなかった。淡々と癒しの技や薬を売って暮らしをたてているだけで、己の力を何かに及ぼそういう気もないようだった。どことなくこの世を倦んでいる風情のイユキアが、自分の命を狙われた時にどれほどの反撃をするか、しようと思うか、レイヴァートにははかりかねている。
(──易々と、人に後れを取るとは思えないが)
不吉なものを押し隠した彼の後ろから、ヒルザスが歩み出た。
男の顔と両腕に巻かれた包帯を見くらべ、無遠慮なほどの口調で聞いた。
「で、あんたはこの店で、黒館の主と何してたんだ?」
男の顔がさっとこわばる。
レイヴァートが、手を扉へ向けて振った。
「すまなかったな、面倒をかけた。行っていいぞ」
「俺──」
「黒館の主には、俺からつたえておく」
レイヴァートが男を見やってうなずくと、男はホッとしたような表情で足早に店を出ていった。見送って、ヒルザスが腕組みする。
「レイ。──お前、何か、知ってるな?」
「何をだ」
「黒館の主が、あいつで何をしてたかさ」
レイヴァートは、扉へ向かって歩きかかった足をとめ、ヒルザスをふりかえった。かすかに唇のはじを引き歪めている友の顔を見やり、彼は静かに言う。
「そんなことを言っている場合か?」
「──ふぅぅん」
「それは、何だ?」
「いや、べつに」
べつに、という顔ではないが、ヒルザスは意味ありげな表情をうかべたまま、それ以上何も言わなかった。ひとまず取りあわず、レイヴァートは扉から狭い小路へ出る。背後でヒルザスが金貨一枚をカウンターへ置き、カップをかぶせた。もうじき店主も戻ってくる。迷惑料──扉の修理代だ。充分すぎて釣りがくる。
それからレイヴァートを追った。
「どこに行ったか、心当たりはあるのか?」
「お前、マキアのところへ戻れ。ローゼ殿の待ち人の名を教えてもらわねばならん」
レイヴァートは人をよけながら大股に歩いていく。イユキアとロゼナギースの歩いていった方角を追った。
丁字路から雑踏へ出たところで、ヒルザスが肩をならべた。
「ムリだ、マキアは口が裂けても言わんよ。あれは14年も娼婦の暮らしを耐えた女だぜ。──ローゼ殿のためにさ」
「‥‥‥」
「ローゼ殿を六年前に逃がしたのが誰か。陛下はご存知なのかもしれねえな」
つぶやいたヒルザスを、レイヴァートは横目で見た。彼らの王が何を考えているか、何のために二人を個人的にクーホリアへ使わしたのか、レイヴァートにもヒルザスにもわからない。王が、用命以外に言ったことといえば、ロゼナギースについて「無茶なところがあるがな」という一言だけだった。
「ローゼ殿もなぁ‥‥世が世なら、音師にもなれただろうに」
ヒルザスが思い出したように言う。レイヴァートがちらっと空の色を眺めた。夕暮れが近い。もう陽はだいぶ傾いている。
その空を白いものがふわりとうごいて、レイヴァートはそれを目で追った。風の中に、蜘蛛がとばした細い糸のようなきらめきを見る。それが夕刻の空気に光ったと思った瞬間、小さな白蝶が薄い羽根をひらめかせ、宙へとびたった。
レイヴァートは蝶を追って走り出す。何かぶつぶつ言いながら、ヒルザスがその背へつづいた。